高齢者介護とターミナルケア 東京・生活者ネットワーク
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2005 年 1 月 27 日     カテゴリ:福祉
高齢者介護とターミナルケア
〜介護保険制度検証のための基礎調査・第10回調査から〜
利用者側から介護保険制度の検証と改善提案を

調査事務局・NPO法人市民シンクタンクひと・まち社 
代表 池田敦子

ターミナルケア経験者の調査実施
 東京・生活者ネットもメンバーの一員として参加している 「運動グループ福祉協議会」 と、 「市民シンクタンクひと・まち社」 が共同で進めてきた、 「介護保険制度検証のための利用者側からの基礎調査」は10回目の最終調査を終了し、昨年10月に5冊目の報告書をまとめた。
この調査は1999年から2004年の5年にわたり、同じ人を対象に行った。5年間の調査は、対象者の5年の歴史でもある。調査当初、 福祉サービスを受けたことがある高齢者785人の回答者が、 第10回には264人に減少。 回答不能になった理由で最も多いのは、本人の容態や介護者の負担が重くなったことによるもので、人生の最期を迎えられた方も少なくない。 04年3月の時点で、調査事務局が把握できている死亡の累積は118人にのぼる。
最終調査では、 ターミナルケア (終末期医療) を経験された118人のご家族に調査票を届け、 55人から回答をいただくことができた。5年間、基本的に同じ調査員が同じ対象者を訪問する形式の調査ならではの信頼関係から、ご家族の貴重な経験をうかがえた。この調査によって、介護保険制度そのものが在宅介護を支えるしくみであるにもかかわらず、 いつの間にか病院のベッドに最期をゆだねる結果にならざるを得ないことがわかり、制度の不備が明らかになった。

希望された終末医療
 本人が生前に家族に伝えた終末期に関する内容は、「自宅で主治医や看護師やヘルパーなどのケアを受けながら最期を迎えたい」 という希望が最も多く15人。 「特に希望はないが家族に任せる」 という考え方は9人だが、「施設でのターミナルケアを受けたい」 という希望は3人、 「病院で最期まで十分な医療を受けたい」 という希望は2人と少なかった。 その他の回答者9人には、 「延命治療を望まない」 「特別のことはしなくてよい」 といった希望が書かれていた。
このような希望がどのように家族に伝えられていたかを見ると、 書面にして意思をあらわしていた人は皆無で、60%にあたる33人は生前の希望を日頃の会話の中で家族に伝えていた。 あとの40%の人は「本人の意思表示や聞く機会がなかった」「本人の希望はわからないままだった」と回答している。

終末医療の実態
実際に最期を迎えた場所は、自宅が12人、施設が4人。 病院は39人で70%を超えた。 自宅を最期の場と希望していた人でも2人の人は病院で亡くなられている。
住み慣れた場所で家族や友人に見守られながら迎える最期は、 当たり前の希望であっても、 現実に叶えるには相当の困難を伴う。 在宅での看取りは、本人の強い意思表示と、それを最期まで支える介護者の覚悟が必要になる。
調査では、在宅でターミナルケアを経験した12人から、次のような感想が寄せられている。 「いつどういう形で死が訪れるか不安だった」 「本人が弱っていく状態で経管栄養などをしないことで悩むことがあったが、 本人の 『医療行為は好きではない』 の原点に戻ってその都度決断した」など。また、「こちらの希望をしっかり受け止めてくれた主治医と看護師、 ヘルパーがあった」、「かかりつけ医、 訪問看護師が介護者の気持を理解し、 24時間対応で自宅での終末期医療に協力してくれた」 「本人の意向を最期まで果たそうとした」 ことがあって、 看取ることができたといっている。

 実際に、 死を間近に控えた本人と介護者の社会の受け皿は、 地域においては、 まだまだ運がよかったとか恵まれた状況という範疇で達成されるレベルである。 経験者からの感想はそのまま、 現状のターミナルケアの問題を言い得ており、 これらの事例を通して、 どこに生活の場を置こうともターミナルケアが提供されるようになることが、 本当の意味で介護保険がめざす 「最期まで、 住み慣れた地域で暮らしつづける」 ことであるはずだ。

ターミナルケアを制度改正議論の対象に
介護保険制度の見直しは、 政府案がほぼでき上がり、 自治体には早々と新予防給付なる要支援・要介護1などの利用者への介護予防を謳ったメニューが説明され始めている。
しかし、 重介護を要する利用者に伴う医療行為などについては、 医療と介護の連携に埋まらない溝を残したままである。 ターミナルケアはその最たる課題であるが、 介護保険制度と医療保険制度の乗り入れや、 24時間対応の地域での医療と介護のチームケアなどに新たな方針は見られない。
介護保険制度は、 契約による本人の選択が可能なサービス制度である。 そこに近づける努力は、 利用者側からの発議が重みをもつはずである。

生活者通信161より
詳しい内容は生活者通信でご覧いただけます。

 



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